波動拳(ノーマル版)の有効活用についての考察
ストVではブロッキングシステムのおかげで、随分と使い勝手が悪くなった波動拳であるが、
今回はこれについて有効活用を模索したい。
筆者の主戦力SAが真昇竜拳であることから、ゲージを消費しないノーマル版波動拳に着目する。
波動拳という技は、
もともと、ストU以降、単発でヒットを狙っていくのは難しい技だった。
どちらかというと、
相手を隅に押しやり、あるいはジャンプさせ、間合いを調整したり、対空迎撃への布石として活用する。
補助的な技 というイメージが強い。
(むろん、その過程で食らってくれれば、めっけもんである。)
ストVではブロッキングのおかげで、
ジャンプで回避せずとも、
ガードによるノックバックや削りダメージを防ぐことが出来る。
そして、
ピンポイントで跳びこまれると、最大級の連続技を叩きこまれかねない。
これが、リュウ使いなら必ず一度は苦い思いをする、最大の欠点。
とはいえ、サードの波動拳は、それ自体は全く使えないものではない。
相手の牽制技やダッシュを止める手段として便利な部分もある。
使えない技と完全に切り捨てるのではなく、有効活用を模索しよう。
なお、筆者の経験がかなり入っているため、他シリーズで有効なものも多い。
強、中、弱の特色
波動拳を使うときに、いずれを多用しているだろうか?
自分は、全部である。とくに強と弱では、使用方法や有効な状況も異なる。
まず、サードでの波動拳のガード硬直は、
いずれも9フレームの不利で、変わらない ことを認識しておきたい。
つまり、強をぶっ放そうが、弱を放とうが、硬直時間は同じなのである。
ならば、強をぶち当てに行けば良い、そう考えるのは浅はかである。
たしかに、強波動拳の弾速は早く、これに運悪くぶち当たってしまうこともある。
ダメージは低いが、牽制効果が期待できる。
一般的な攻略本などで、良く書かれている使い方だ。
しかし、弱波動拳は、全く逆の方向で強みを発揮する。
それは、
長時間、画面に停滞する=攻撃判定が長時間、画面に存在する
という点である。
これはどういうことか。
波動拳に対して、ガードやブロッキングという選択肢を選んだ相手がいるとしよう。
強は相手にすぐ到達してしまうから、すぐに、ガードorブロッキングされてしまう。
しかし、
弱ならば、相手に到達するまでの時間が長く、
すなわち、ガードorブロッキングに要する時間が長くなる
のである。
波動拳の硬直時間は、全く同じなのに、である。
これを利用すれば、屈中K→弱波動が、強波動にくらべ、反撃を受けにくくすることになる。
とくに屈中Kの先端をガードさせてキャンセル弱波動であれば、
春麗の鳳翼扇が間に合わないことは有名。(むろん、BLされてしまう危険はある)
また、相手を隅に追い詰めて、
弱波動→強波動、という連携も相手によっては効果的である。
あせってジャンプで飛びこもうとした相手に強波動がぶち当たることは多い。
さらに、普段から強と使い分けていることで、相手のブロッキングミスを誘うことが可能になる。
強と誤認した相手が弱をくらったり、または、その逆が狙えるのである。
かりに相手の反射神経が格段に良く、完璧にブロッキングしきれていたとしても、
まず、神経の集中をその部分に割かれることになるだろう。
結論としては。
強は牽制技。
弱は時間差でプレッシャーを与える技。
中はその中間、相手の目測をごまかすためのもの。
と考えてみよう。
少しは波動拳に対する、視点が変わると思う。
危険な使い方の考察
次にやってはいけないことを考える。
無駄な波動拳ほど危険なものは無い。僅かなミスが死に繋がるこのゲームでは、特に。
1、連続技へ組みこんだ場合の危険性
波動拳はヒットさせても、なお反撃を食らう状況 がある。
これが、他のシリーズとくらべ、波動拳の使用頻度を押し下げている。
近距離、密着状態で連続技に組みこむのは極力避けたい。
やばい技は、大半の突進系SA。
BL後の反撃に、ついつい屈中K波動とかやってしまう人は、要修正。
代表格とも言える技は、鳳翼扇、ローリングサンダー、タイラント、疾風迅雷・・・etc。
しゃがみ強キックガード後に反撃可能な技は、ほぼ、確定で反撃可能である。
また、あくまで相手のヒットバックの問題なので、弱で出そうが、反撃は確定 である。
2、ジャンプ攻撃、スカし系のSAに注意
とくに怖いのは、波動拳を、『見て』から反撃を入れられるキャラ。
鳳翼扇装備型の春麗と、土佐波装備型のまことが一番怖い。
ほかにもEX鉄山コウを持つユンやいぶきのスライディングなどが該当。
飛び道具系では、ピヨ狙いのネクロのスネーク、12のX・N・D・Lなど。
とくに、春麗やまことに
超遠距離から波動拳を撃つのは、
自分から火の海に飛び込むような自殺行為である。
したがって、この2キャラのゲージに常に気を配っておこう。
3、読まれやすいキャラへの、うかつな波動拳
空中からの攻撃で怖いのは、
ジャンプ軌道の低いダッドリーや、ユン、ヤンの雷撃襲、豪鬼の天魔空刃脚、12のX・F・L・A・Tあたりが該当。
これらのキャラに対しては、ジャンプ軌道に気を配ろう。
ジャンプ軌道が低い、もしくは急降下する技をもっている、ということは、
イコール、波動拳に対して飛び込むタイミングが容易になる のである。
しかし、逆にいえば、ある程度、着地地点を読みきることが出来る。
波動拳の活用についての考察
@間合い調整機能
相手がこちらの波動拳を想定した場合に、取ることが出来る行動は、制限を受ける。
まず、少なくとも、前ダッシュという選択肢を封じ込める ことが可能。
前ダッシュを多用し、飛び込みに視点が行っていない相手に対して、前ダッシュは極めてうざいものになる。
あきらかにダッシュや突進技がウリのキャラ相手にとって、邪魔な存在になる。
もし、自分がダッシュを主体とした攻めに畳み掛けられている状況ならば、
波動拳という選択肢が出てくることになる。
正中線まことなどが、その代表格。リュウ相手なら、普通は土佐波だろうけどさ。
また、地上ではないが12の滑空に対しても、ある程度の効果が期待できる。
この場合は、なるべく画面に弾が残る、弱波動拳を使用すると効果的だ。
歩いて前進、という選択肢にも制限が加わる。歩きながら強波動拳をブロッキングするのは厳しい。
たとえブロッキングされても、ほぼ現状維持である。
相手側にとって可能な反撃手段は、ジャンプ攻撃、および、特殊な移動、突進技に限られることになる。
相手のジャンプ軌道はこちら側でも判断が可能である。
つまり、
ジャンプさせて、目の前に着地させる、という選択肢が生まれることになる。
この場合、主に、弱波動を狙っていきたい。
しかし、確実にヒットが見こめる前ダッシュ対策などの場合は強の方がよい。
A牽制機能
牽制技としての機能も有効活用したい。
屈強Kと並んで、リュウにとって長いリーチを誇るのだから、
遠、中間距離の間合いで、相手の牽制技のスキにぶち当てて行きたい。
古典的な使い方としては、ネクロのようにリーチが長く、波動拳を潜る術の無いキャラに対しての牽制。
なにげに、エレクトリックスネークがらみのコンボが痛いので、出来る限りコンボの間合いを外して戦いたいため、
そこで、波動拳も一つの選択肢として有効となってくる。
むろん、ダメージそのものを期待しても良いが、
波動拳を警戒した相手が牽制技を振り回すのをやめ、
場合によっては、安易なジャンプ行動に移る可能性がある。
ここに、波動拳の真骨頂がある。
移動投げや真昇竜といった、接近戦武器をもつリュウを相手に、接近戦をしかけさせ、
ひるんだ相手には波動拳をガードさせ、あるいはブロッキングの準備をさせて隅に追いやるのである。
たとえば、
ゲージの溜まっていない春麗を、画面隅に追いやって速攻で殺す、ためには波動拳の存在は大きい。
遠強Pや遠強K、掌抵といった牽制技をつぶし、ゲージ溜めの邪魔をする。
そして、ゲージを溜めた春麗が相手であっても、
相手が反応できないような、中間距離ならば、使用の余地は十分にあると思う。
「見て」から行動が間に合わないような間合い ならば、
読み合いに持ちこむことが出来る。
強波動拳のみを使用 し、相手が読み勝てば、SAなどで反撃を受けるが、
こちらが読み勝ちつづける限り、
じりじりと相手を隅に追いやることが出来る。
EX波動拳ほどの便利さは無いものの、BLしたからといって、早々反撃は出来ない。
読まれないようにする工夫として、
@単調なタイミングでのぶっ放しを避ける。
Aあいての、くさいフェイントを読みきる(相手の通常技空振りなど)
Bこちらもフェイントをかける。
とくに、B重視する、という手もあろう。
遠立ち弱Pを単発で出すなどして、僅かな動きを見せ、波動拳を撃つフリ をする。
鳳翼戦などガードすれば反撃確定の技の暴発を期待できる。
目安は、リュウの屈強Kのギリギリ先端ぐらいの間合い と思われる。
実際、この間合いで「見て」から、SAを入力するのは至難の技である。
B削り殺し機能
残り体力0ドットの相手を、
ゲージを使用せず に、しかも、リスクを犯さず に削り倒す事
が出来れば、たとえ軟弱と言われようと、当然のようにその選択肢を選ぶだろう(笑)
したがって、リュウ使いが、波動拳にその役割を求めるのは至極当然のことである。
しかし、削り殺しを敢行するに当たって、ブロッキングの存在、及び無敵技の存在が邪魔である。
特に、相手が、1本すでに取られている状況で、かつ、ゲージが溜まっている状況が一番怖い。
窮鼠ねこみみを噛むというやつである。
したがって、この二つをクリアして、ぜひとも安全な削り殺しライフを送っていただきたい。
なお、ここの項では、思いっきり漢であることを放棄しよう。
削り殺しバンザイ。ビバ、削り殺し!!
ただし、ホントの事をいうと、灼熱砲台モード で削り倒すのが一番である。
3ラウンド目に削って終わり、という状況であれば、全ゲージを灼熱に回して、燃やすのがベスト。
真空波動選択者は5発も放出できる。この幸せ者め。
んで、ノーマル版に着目した場合ならば。
相手の起きあがりに、BLのタイミングを取りやすい強波動を重ねるのはお勧めできない。
あまりにも、読まれやすく、安直な手段。ブロッキングされて、終了である。
では、どうするのか。
相手の置きあがりに、ちょっとタイミングを置いて、弱波動、がベスト。
これは、微妙な距離調整が必要。
相手の反応が間に合わないけれども、波動拳の到達が遅れるような間合い。
屈中Kの先端ぎりぎりの間合い で、しかも、
相手が置きあがりきった後に、少しタイミングを取って、ぶっ放すのがいい。
出来る限り、リバーサルSAの危険性が去った後で削り殺しを敢行しよう。
ちなみに、画面隅ならば、弱波動→強波動という削り連携が可能。
ただし、これは極力、相手側不利の読み合いに持ちこむために推奨しているのであって、絶対ではない。
最終奥義、ステルス
注:今の時代に通用するかはわからない。もっと他に有効打があるかもしれない。
しかし、肉を切らせて骨を絶つ、という戦法は、頭の隅において置くだけでも違うかもしれない。
このテクニックは、一年戦争末期(ストU後期)、
対ガイル戦において、絶望的な追っかけソニックに対する対抗策、
あるいは長期戦に持ちこむための一手段として、
僅かに生き残ったリュウ・ケン使いによる苦肉の策として開発された。
ネームの由来は、当時、湾岸戦争から1年たっていなかったことから来るのだろう。
「で、どこらへんがステルスなん?」
と聞かれても、答えに窮してしまうのだが(苦笑)
その内容は、
意図的に、
相手の飛び道具を食らいながら、強波動拳を叩き込む。
これが全てである。
とっさのピヨ狙い、あるいはガードさせて、相手を隅に追いやる点で使用価値が認められた。
(注:トリカゴが有効だった時代の話である。)
しかし、相手の飛び道具の弾速によって、波動拳のコマンド入力のタイミングが影響を受ける。
サードにおいて着目すべき状況は、対豪鬼戦、斬空対策 として、である。
真空波動選択時であれば、なにも、こんなこと考えずとも、波動真空波動をぶっ放せば十分。
しかし、ゲージを温存したい真昇竜、電刃使いならば、
ノーマル波動拳のみで対処し、隅に追い詰めて行きたいところ。
幸い、豪鬼の防御力は、全キャラ中最低なので、成功すれば、
斬空のダメージに対して、十分おつりが来る。
要は、斬空を見てから、恐れずに強・中波動ぶっぱなし。
豪鬼使いがひるんでくれれば、しめたものなのだが…。